成功事例

ガンホーは AdMob を導入して IAP と広告の新たな戦略を展開

ガンホーは AdMob を導入して IAP と広告の新たな戦略を展開

ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は高い評価を得ている日本のゲーム デベロッパーです。初めてオリジナル タイトルを公開した 2002 年から、一貫してプレーヤーに質の高いエクスペリエンスを提供することに重きを置いてきました。「パズル&ドラゴンズ」は長年愛されている同社のスマートフォン ゲームで、2012 年のリリース以来アプリ内購入のみで収益化を行っていました。ガンホーはアプリ内広告をめぐるトレンドを注意深く見守っていましたが、広告を表示することでこれまで大切にしてきたプレーヤーのエクスペリエンスやブランドにマイナスの影響が及ぶことを懸念し、導入には消極的でした。

しかし、「パズル&ドラゴンズ」のスタジオ マネージャーである竹中大星氏は、マーケット トレンドにおける業界のある変化に気づきました。アプリ内広告はゲームデザインやゲームプレイの流れを阻害するという見方が変わりつつあったのです。竹中氏は直感的に、デザインとプレースメントを工夫すれば「パズル&ドラゴンズ」のプレーヤーもリワード広告の利便性を歓迎し、得られる特典に価値を見出すのではないかと感じました。

アプリ内リワード広告のテストには信頼できるソリューションが不可欠

プレーヤーに質の高い広告エクスペリエンスを提供するため、竹中氏が利用を決めたのが Google AdMob とその 200 以上の信頼できるデマンドソースでした。ガンホーのチームは Google サービスの利用に慣れていたため、IAP と IAA のハイブリッド型の収益化モデルを試すにあたって Google をパートナーに選ぶことに迷いはありませんでした。「提案してくれたのが Google であったというのは、とても大きなポイントでした。このプロジェクトに取り組むには、信頼できるパートナーが必要だと考えていたからです」と竹中氏は語ります。

ガンホーはユーザー エンゲージメントを最優先事項としているため、どのような変更を行うにしても、ゲーム エクスペリエンスを損なうものであってはならず、ユーザーにまたプレイしたいと思わせるものでなければならないと考えています。「重要なのは、ユーザーに長くゲームをプレイしてもらうことです。もちろん、これはビジネスですから収益性は無視できませんが、重視すべきなのはユーザー維持率、DAU(1 日あたりのアクティブ ユーザー数)、MAU(1 か月あたりのアクティブ ユーザー数)などの指標です」と竹中氏は言います。

新しい収益化戦略はエンゲージメント指標に影響を与えるおそれもありましたが、竹中氏はゲームデザインにうまく溶け込むアプリ内リワード広告を開発し、プレーヤーのコミュニティに受け入れられる報酬を用意できるという自信がありました。

まずは小規模にテスト戦略を実施

アプリ内リワード広告のテストを行うにあたってガンホーが取ったアプローチは、まず小規模にテストを展開し戦略を最適化したうえで、「パズル&ドラゴンズ」の最大の市場である日本でテストを行うというものでした。2020 年 10 月、ガンホーは IAP と IAA のハイブリッド型の収益化を、1 日あたりのアクティブなユーザー数が比較的少ない北米版のアプリで開始しました。

「AdMob の統合はシームレスかつスムーズに行えました。広告のパフォーマンスがビジネスの成果に与える影響も容易に把握することができました」と竹中氏は述べています。

このテストは、北米版のすべてのゲームユーザー(100%)に対して実施されました。ゲーム エクスペリエンスを損なわないようにするため、リワード広告はプレーヤーがいくつかのレベルをクリアしてから表示するようにしました。広告を視聴したプレーヤーには、ゲームを進めるのに必要なスタミナやモンスター BOX の拡張などの報酬が付与されました。

リワード広告がユーザーに及ぼす影響を確認するため、ガンホーは収集したエンゲージメント指標を北米市場の過去の分析データと比較し、広告を視聴したユーザーと視聴しなかったユーザーの違いを分析しました。また、プレーヤー、特に長年のゲームユーザーから寄せられた、広告に関するフィードバックやコメントも注視しました。

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ガンホーが広告収益化のパートナーとして Google を選んだ理由の一つは、ガンホーが信頼性を重視しているからです。

竹中大星氏, 「パズル&ドラゴンズ」のスタジオ マネージャー, ガンホー・オンライン・エンターテイメント

アプリの最大市場で広告収入が 300% 増加

当初は、最低 1 か月間テストを継続する予定でした。しかし、1 週間もしないうちに、会社の上層部を納得させられるだけの十分な初期データが集まりました。それは、ハイブリッド型の収益化モデルが「パズル&ドラゴンズ」に有効であることをはっきり示すものでした。この結果を受け、ガンホーは 2021 年 2 月にゲームの最大のユーザーベース(1 日あたりのアクティブ ユーザー数)を持つ日本語版アプリに AdMob 入札メディエーションを完全統合しました。市場の規模に合わせてチームはより高い収益目標を掲げ、アプリ内でのリワード広告の掲載場所を最適化してテストを実施しました。

ガンホーはこのテストで、広告の視聴と引き換えにランダムに選ばれるゲーム内アイテムを獲得できるガチャを試すことにしました。竹中氏によると、この方法はユーザーにリワード広告のコンセプトに慣れてもらうのに効果的でした。

「リワード広告でガチャを引きたい、という声がちょうどユーザーから上がっていました。これは私たちの計画していた収益化の展開と方向が一致するものでした。ガチャの導入以来、ユーザーのガチャの利用率は高まっています」と竹中氏は言います。

すぐにユーザーから大量のフィードバックが返ってきました。驚くほど多くのプレーヤーが新しい広告エクスペリエンスを歓迎し、このアップデートを「すばらしい」と評価しました。さらにチームは、広告を視聴するユーザーの方が長くゲームをプレイする可能性が高いことにも気づきました。この点は、ユーザー維持率の上昇にも表れていました。最終的には、「パズル&ドラゴンズ」日本語版アプリの広告収入は初期段階のテスト時より 300% の増加を見ました。

竹中氏によれば、ガンホーは今後のリリースでも IAP と IAA のハイブリッド型の収益化モデルを採用することを検討しています。「ユーザーの心をつかむ新たな方法を手に入れられたことは、『パズル&ドラゴンズ』や今後リリースする他のタイトルにとってもプラスとなるでしょう」と竹中氏は語っています。